クラシック音楽の中でもバロック音楽は多様性に溢れています。クラシック音楽というスタイルが形成されるのはモーツァルトの時代以降。王室、貴族の楽しみから庶民の嗜みへと移る過程で形式を統一されていって様式化されまとめられていきました。
生活習慣の中に馴染んでいった欧米とは異なって、明治時代になって教養として入ってきた日本では今ひとつふたつ敷居の高い扱いはこれからも変わらないことでしょう。
クラシック音楽に親しんでいくほどにバロック音楽は面白さが変わっていきます。誰もが一時期的にはバロック音楽をきくことからは離れてるもののようで、何かとつかみ所がない部分が出てくるのです。
今週の『バロックの森』で取り上げられていた“シャコンヌ”と“パッサカリア”もその1つ。ここで教養的に延長線を保とうとするのではなくて、モーツァルトまではバロック音楽としてひとくくりに聴くことができれば楽しい部分が見えてくるのではないかと思います。ベートーヴェンからの音楽を一般的に言うところのクラシック音楽と受け止めてしまえば、事は簡単なのですけどモーツァルト・イコール・クラシック音楽として初心者はそこで足踏みをしてしまうのが多い。
クラシック音楽を聴き始めの愛好家がバロック音楽に親しみやすいのは、音楽の多くの部分が舞曲が変化したものだからでしょう。バロック音楽の時代は王族、貴族がパーティの為に演奏させたものと、教会内で演奏された音楽は二分するものでしたから、バロック音楽のどちらかというと大きく占めている教会音楽よりも舞曲を数多く楽しむだけでもすてきな時間を過ごすことが出来ます。
バロック音楽はクラシック音楽のある時期のものとは言っても、150年にわたる期間(1610年から1760年頃まで)を指します。ベートーヴェン(1800年前後)以降、現代音楽(1910年頃から)と呼ばれる期間までと同じくらいに膨大です。
テーマを絞って体系的に聞くことは全体を把握をする助けになることは確かですけれども、つまみ食いのような今週の選曲をみつけては聞くことは楽しいことです。バロック音楽の宗教音楽の方は、シューベルト以降、ベルリオーズやブラームス、フォーレを楽しむようになれば成るほどに省みる必要が出てきますので、その時に数多くのバロック時代の宗教音楽に親しみましょう。
2009.11.16(月)~11.20(金)

ご案内:赤塚健太郎
今週は、バロック時代のさまざまな舞曲に焦点を当ててお送りします。
月曜日は、イタリアやフランスで書かれたさまざまなパッサカリアを聴いていただきます。パッサカリアは一定の低音旋律や和声進行に基づく変奏曲形式の舞曲で、バロック時代に大変好まれていました。特にフランスでは、歌劇の中の重要な場面で、しばしば大規模なパッサカリアが登場します。そうした例の代表的なものとして、リュリの歌劇「アルミード」の一場面をお送りします。
火曜日は、アルマンドをテーマにお送りします。アルマンドとは「ドイツの」といった意味の言葉で、ルネサンス時代から踊られ、演奏されてきた舞曲です。しかしバロック時代になると踊りとしての実態は失われ、器楽曲の一種となっていきました。この日は、さまざまな性格やテンポを持つアルマンドを聴いていただきます。さらに18世紀になってから広まっていった新しいタイプのアルマンドもお送りしましょう。
水曜日は、さまざまなシャコンヌをお送りします。シャコンヌは、パッサカリアと同様に一定の低音旋律や和声進行に基づく変奏曲形式の舞曲です。バロック時代の音楽家達の中には、シャコンヌとパッサカリアを区別しようと試みた人たちもいましたが、両者を厳密に区分することは困難です。
木曜日は、サラバンドをテーマにお送りします。サラバンドはゆったりとした3拍子の舞曲で、2拍目に重みがかけられる独特のリズムを持つとされます。しかしバロック時代には、踊りとしても、器楽曲としても、実際にはさまざまなテンポや性格を持つサラバンドが存在しました。中には、変奏が複数つけられた大規模なサラバンドも見られます。そうしたものの例として、ガスパール・ル・ルーの組曲に収められたサラバンドを聴いていただきましょう。
金曜日は、フォリアを集めてお送りします。フォリアはイベリア半島起源の変奏曲形式の舞曲で、速いテンポと激しい性格を持つ踊りとしてヨーロッパ中に広まりました。しかし17世紀になるとフランスで荘重な踊りへと洗練されました。そうした新しいタイプのフォリアもバロック時代後半にはヨーロッパ中で流行しましたが、その例をいくつか聴いていただきましょう。荘重な雰囲気を持つに至ったフォリアですが、変奏が進む中ではかなり激しい表現もみられ、また楽器の特徴を生かした技巧的な変奏も現れます。
2009年11月16日(月) ご案内:赤塚健太郎
(副題:さまざまな舞曲(1)―パッサカリア)
パッサカリアによる100のパルティータ
フレスコバルディ作曲
チェンバロ:ピエール・アンタイ
(10:40)
<Astree E 8585>
パッサカリア
マリーニ作曲
合奏:エスペリオンXXI
指揮とヴィオラ・ダ・ガンバ:ホルディ・サバール
(5:44)
<Alia Vox AV9820>
組曲 ロ短調 作品4
オトテール作曲
フラウト・トラヴェルソ:フランク・トゥンス
フラウト・トラヴェルソ:マルク・アンタイ
(14:23)
<Accent ACC 21149>
歌劇「アルミード」から 第5幕の抜粋
リュリ作曲
ルノー(カウンター・テノール):ポール・アグニュー
アルミード(ソプラノ):リナ・シャハム
カウンター・テノール:シリル・オヴィティ
合唱と合奏:レザール・フロリサン
指揮:ウィリアム・クリスティ
(16:42)
<Erato 0927-44655-2>
2009年11月17日(火) ご案内:赤塚健太郎
(副題:さまざまな舞曲(2)―アルマンド)
「クラヴサン曲集 第1巻」の「組曲ハ短調」から アルマンド
デュフリー作曲
クラヴサン:ウォルフガング・グリュクサム
(6:09)
<ORF CD 254>
アルマンド
カンプラ作曲
合奏:アンサンブル・リ・エ・ダンスリ
指揮:ピエール・セシェ
(1:32)
<STIL 1405 SAN 81>
「クラヴサン曲集」から 組曲 第6番 嬰ヘ短調
ガスパール・ル・ルー作曲
クラヴサン:クリストフ・ルセ
(9:05)
<L'oiseau-lyre 443 329-2>
「ヴィオール曲集 第4巻」の「異国風趣味の組曲」から
アルマンドの主題とジーグのバス
アルマンド「気まぐれ」
アルマンド「風変わり」
アルマンド「壮麗」
マレー作曲
ヴィオール:ホルディ・サバール
ヴィオール(通奏低音):フィリップ・ピエルロ
テオルボ:ハビエル・ディアス・ラトーレ
クラヴサン:ピエール・アンタイ
(10:58)
<Alia Vox AVSA9851 A+B>
組曲 ニ短調
バルトロッティ作曲
バロック・ギター:ラファエル・ボナビータ
(19:33)
<Enchiriadis EN 2008>
2009年11月18日(水) ご案内:赤塚健太郎
(副題:さまざまな舞曲(3)―シャコンヌ)
シャコンヌのアリア「恋のリラにのせて」
メールラ作曲
ソプラノ:鈴木美登里
合奏:アントネッロ
(8:32)
<ナミ・レコード WWCC-7377>
歌劇「エベの祭り」から
序曲
シャコンヌ
ラモー作曲
管弦楽:18世紀オーケストラ
指揮:フランス・ブリュッヘン
(7:25)
<Glossa GCD 921103>
トリオ・ソナタ ロ短調
ドルネル作曲
フラウト・トラヴェルソ:ウィルベルト・ハーツェルツェト
フラウト・トラヴェルソ:ブライアン・ベリーマン
ヴィオール:ヤープ・テル・リンデン
クラヴサン:ジャック・オッホ
(8:06)
<Glossa GCD 920806>
ヴィオール組曲 第1番 ホ短調
フランソア・クープラン作曲
ヴィオール:ヴィーラント・クイケン
ヴィオール(通奏低音):上村かおり
クラヴサン:ロベール・コーネン
(23:11)
<Accent ACC 9288 D>
2009年11月19日(木) ご案内:赤塚健太郎
(副題:さまざまな舞曲(4)―サラバンド)
「ハープシコード組曲 第2巻」から
組曲 第4番 ニ短調
ヘンデル作曲
ハープシコード:オリヴィエ・ボーモン
(8:12)
<Erato 0630-14886-2>
二重奏曲 ハ長調
ロック作曲
ヴィオラ・ダ・ガンバ:ジェローム・アンタイ
ヴィオラ・ダ・ガンバ:上村かおり
(4:15)
<Virgin veritas 7243 5 45323 2 0>
「ヴィオール曲集 第2巻」の「組曲 ホ短調」から
前奏曲
アルマンド
サラバンド
スペイン風のサラバンド
パッサカリア
マレー作曲
ヴィオール:ホルディ・サバール
ヴィオール(通奏低音):フィリップ・ピエルロ
テオルボ:ロルフ・リスレヴァン
テオルボとギター:ハビエル・ディアス・ラトーレ
クラヴサン:ピエール・アンタイ
(13:21)
<Alia vox AV 9828>
「クラヴサン曲集」から
組曲 第7番 ト短調
ガスパール・ル・ルー作曲
クラヴサン:クリストフ・ルセ
(21:40)
<L'oiseau-lyre 443 329-2>
2009年11月20日(金) ご案内:赤塚健太郎
(副題:さまざまな舞曲(5)―フォリア)
スペインのフォリアによる12の変奏曲 Wq.118-9
エマヌエル・バッハ作曲
チェンバロ:ワルデマー・デーリング
(7:55)
<Dabringerhaus und grimm MDG 605 0100-2>
「ヴィオール曲集 第2巻」から
スペインのフォリア
マレー作曲
ヴィオール:パオロ・パンドルフォ
ヴィオール(通奏低音):グイド・バレストラッチ
テオルボとギター:トマス・ボイセン
テオルボとギター:ドロレス・コストヤス
クラヴサン:ミッツィ・メイヤーソン
(17:18)
<Glossa GCD 920406>
バイオリン・ソナタ 「フォリア」
アルビカストロ作曲
バイオリン:マンフレード・クレーマー
チェロ:メルセデス・ルイス
チェンバロ:ミヒャエル・ベーリンガー
(11:48)
<Alia vox AV9844>
バイオリン・ソナタ ニ短調 作品5第12 「フォリア」
コレルリ作曲
バイオリン:ステファノ・モンタナーリ
合奏:アカデミア・ビザンティーナ
指揮とチェンバロ:オッターヴィオ・ダントーネ
(11:01)
<Arts 47724-8>
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